「ハーケン!!見てみて!なんだな!」
「OK、赤ワカメ 落ち着いてくれよ?」
小さな草むらであった
スクッと立ち上がったアクセルは満面の笑みを浮かべながらズイズイとハーケンに迫る
見たことのないような緑の物体であった
ジーと見つめるハーケンにアクセルは無理矢理その物体をハーケンに押し付けた
「アンタが持ってるんだ。きっといいことがある」
「このアンノーン物体が、か?ジョークは寝てからにしてくれよ」
「アンタ、クローバー知らないのか?クローバー!!」
「waht?クローバー??」
手の中にある緑の物体をまじまじ見るとなんとなくそんな気もする
言われてみれば、だが
「幸せになるクローバーは4ツ葉だろ?なんでこんなにもさもさしてるんだな?」
「七ツ葉のクローバーなんだな、これが意味は無限の幸福」
「妙に詳しいんだな」
「誰かが言ってた気がするんだな、これが!」
アクセルはルンルンと鼻唄を歌いながら小走りで走り出す
ウエーブした赤髪がふわふわと舞う
手の中の緑とアクセルの赤を見比べ、そしてまた視線を緑に戻した
ハーケンには未確認の物体にしか見えなくて呆れまじりの溜め息をついた
「仕方ないから貰ってやるぜ、仕方なくだ」
「はいはい、分かってるって!」
グイッと腕を引っ張られて顔が急接近する
アクセルは自分の指でポンポンと自分の頬を叩く
ニコニコと何となくいつもと違う笑い方
一方ハーケンはふぅと溜め息をつき不敵に笑った
「OK、お気楽ガイ。分かったから少し離れてくれよ」
「やだ。このまま・・・!」
不意に唇を塞がれた
思えばハーケンから接吻されるのは初めてであった
アクセルの口元が吊り上がった
「!?・・・ぅ・・・ぁ・・・んっ!」
「ん・・・」
「何するんだ、離せ」
「あいよ」
やっと訪れた開放感
そのまま頬を引っ張ってやるとアクセルは涙目になりつつまだ笑っていた
最後の最後
転移によって肌が引き攣る感覚
薄れていく意識
転移の直前、アクセルは思考を廻らせていた
レモンの顔とハーケンの顔が重なる
じゃれていたあの頃が懐かしい
ああ、貴様は
貴様は・・・自分の生きる道を行くのだろう
おれにはできなかった道を
薄々気がついていたのだ
貴様は、おれの・・・
たった一人遺ってしまったおれの大切な人へ
貴様の紡ぐ未来に幸福があるように
最後に思い浮かべたのはプレゼントしたクローバーの花言葉だった
無限の幸福
さようなら
また会える日まで
今度はちゃんとした形で会おう